ニュースやビジネスの場面で頻繁に登場する英単語 “sanction(サンクション)”。
一見シンプルに見えるこの言葉ですが、実は「許可」と「制裁」という正反対の意味を持つ、非常にユニークな単語です。
文脈を誤ると全く逆の意味にとられてしまうこともあるため、正しい使い方を理解しておくことが大切です。
この記事では、“sanction” の二面性ある意味と使われ方を、類義語との違いを交えながらわかりやすく解説します。
目次
基本的な意味
sanctionは主に「許可・承認」と「制裁・処罰」の二つの意味を持つ英単語です。
文脈によってどちらの意味になるかが変わるため、注意が必要です。
発音: /ˈsæŋk.ʃən/ または /ˈsæŋk.ʃənz/(複数形)
1. 許可・承認の意味
何かを公式に認めたり、許可したりすることを指します。
例:
- The government sanctioned the new policy.
(政府は新しい政策を承認した)
2. 制裁・罰則の意味
違反行為に対する罰や制裁措置を指します。
例:
- The country faced international sanctions due to its actions.
(その国は行動のために国際的な制裁を受けた)
語源と由来
「sanction」はラテン語のsanctio(法的に確立された規則)に由来し、「神聖にする」「確立する」という意味合いを持ちます。
このため、「許可」と「罰」の両方の意味が発展しました。
類義語との比較
1. approval vs sanction(許可の意味で)
approval: 単に「承認」「賛成」を意味し、口頭や非公式な場面でも使われます。
- We received approval for the project.
(私たちはプロジェクトの承認を得た)
sanction: より公式・法的な「許可」や「承認」を示すことが多いです。
- The board sanctioned the merger.
(取締役会は合併を正式に承認した)
2. penalty vs sanction(制裁の意味で)
penalty: 違反に対する「罰」「処罰」を意味し、法律やスポーツなど幅広く使われます。
- He received a penalty for foul play.
(彼は反則行為で罰則を受けた)
sanction: より厳格で国際的な制裁や政府レベルの処置を指すことが多いです。
- The UN imposed sanctions on the country.
(国連はその国に制裁を課した)
authorize: 権限を与えて「許可する」という意味で、公式な場面で使われます。
- The manager authorized the expense.
(マネージャーは経費を承認した)
sanction: 権限による「公式承認」や「法的許可」にフォーカスします。
- The council sanctioned the construction project.
(評議会は建設計画を正式に許可した)
使い方のポイント
1. 文脈に注意する
sanctionは「許可」と「制裁」という正反対の意味を持つため、文章全体や話の状況から意味を判断しましょう。
例:
- The government sanctioned the strike.
(政府がストライキを認めたのか、罰したのか文脈で判断が必要)
2. 「制裁」の場合は通常「impose sanctions」などの表現が多い
制裁を課す場合は「impose sanctions(制裁を課す)」や「face sanctions(制裁を受ける)」といった形で使われることが一般的です。
例:
- The country was sanctioned for violating trade laws.
(その国は貿易法違反で制裁を受けた)
3. 複数形「sanctions」は通常「制裁」
複数形では「制裁」の意味で使われることが多いです。
例:
- International sanctions hurt the economy.
(国際制裁は経済に打撃を与えた)
まとめ
「sanction」は「許可・承認」と「制裁・罰則」という対照的な意味を持つ単語です。
使う際は文脈をしっかり把握し、どちらの意味かを判断することが大切です。
この単語をマスターすれば、ニュースやビジネス英語の理解がさらに深まるはずです!

