「水をこぼす」「秘密をこぼす」「涙をこぼす」など、日本語の「こぼす」は非常に多様な使い方ができます。
英語でも同様に、状況に応じて使う動詞が異なりますが、最も基本的な表現は spill です。
この記事では、「こぼす」を意味するさまざまな英語表現を、シーン別に豊富な具体例とともに紹介します。
目次
spill:液体やものを「うっかりこぼす」
“spill” は、コーヒー・水・ソースなどの液体や小さなものを「誤ってこぼす・あふれさせる」という意味で使います。
名詞でも「こぼしたもの」「こぼれること」という意味があります。
例文:
- I spilled coffee on my shirt.
(シャツにコーヒーをこぼした) - Be careful not to spill your soup.
(スープをこぼさないように気をつけて) - There was a milk spill in the kitchen.
(キッチンで牛乳がこぼれていた)
「うっかり手が滑ってこぼす」といったシーンで最も使われる基本動詞です。
“spill” は基本的に事故的・偶発的な「こぼれ」に使われます。
わざとではなく、「あっ、やっちゃった」にぴったりな表現です。
pour:注ぐ・あふれさせる(意図的に)
“pour” は「注ぐ」ことを意味しますが、注ぎすぎて結果的に「こぼれる」「あふれる」というニュアンスでも使えます。
例文:
- He poured too much tea, and it spilled over the cup.
(彼は紅茶を注ぎすぎて、カップからあふれた) - Don’t pour it too quickly, or you’ll spill it.
(急いで注がないで、こぼれるよ)
“pour” は「注ぐ」動作そのものを指しますが、spill とセットでよく使われます。
shed:涙・血などを「こぼす」
“shed” は「流す・こぼす」という意味です。
特に 涙(tears) や 血(blood) を「流す」という文学的な文脈で使われます。
例文:
- She shed tears of joy.
(彼女はうれし涙をこぼした) - No blood was shed during the protest.
(その抗議活動では血は一滴も流されなかった)
フォーマルまたは詩的な文脈でよく使われます。
leak:液体や情報が「漏れる・こぼれる」
“leak” は、液体やガス、情報が「漏れる」「こぼれる」ことを指します。
人がこぼすというより、容器やシステムが漏らすというニュアンスです。
例文:
- Water is leaking from the ceiling.
(天井から水が漏れている) - Someone leaked the confidential report.
(誰かが機密文書を漏らした)
物理的な漏れにも、情報の「漏えい」にも使えます。
blurt out / spill the beans:秘密・感情を「うっかりこぼす」
blurt out:思わず口にしてしまう
“blurt out” は「思わずしゃべってしまう」という意味で、感情や秘密を突然こぼすときに使われます。
例文:
- He blurted out the answer before anyone else.
(彼は誰よりも早く、思わず答えを口にしてしまった) - She blurted out her feelings.
(彼女は気持ちを思わず打ち明けてしまった)
spill the beans:秘密をばらす(イディオム)
“spill the beans” はイディオムで、「秘密をうっかり漏らす」「ばらす」という意味で、カジュアルな表現です。
例文:
- Don’t spill the beans about the surprise party!
(サプライズパーティーのことをばらさないで!) - He accidentally spilled the beans to her.
(彼はうっかり彼女に秘密を漏らしてしまった)
会話の中で、秘密や計画を「口を滑らせて言っちゃった」という時にぴったりです。
シーン別の使い分けまとめ
シーン | 英語表現 | ニュアンス |
---|---|---|
飲み物・液体をうっかりこぼす | spill | 最も一般的。偶発的なこぼし |
注ぎすぎてこぼれる | pour (and spill) | 注ぐ動作の結果としてこぼれる |
涙・血などを流す | shed | 感情や詩的な表現に適する |
液体・ガス・情報が漏れる | leak | 無意識的、制御不能な漏れ |
感情・秘密を口にする | blurt out / spill the beans | うっかり、あるいは勢いで言う |
まとめ
日本語の「こぼす」は、英語では文脈ごとに細かく表現を分ける必要があります。
- うっかりこぼした液体 → spill
- 涙・血・感情 → shed
- 情報や秘密を漏らす → spill the beans / blurt out
- 意図せず漏れる(液体・情報) → leak
上記のように使い分けると、より自然で正確な英語表現が可能になります。
「何を」「どうやって」こぼすのかを意識して選ぶのがポイントです。
英語での表現力を高めるために、実際のシーンをイメージしながら覚えてみてくださいね!