英語学習者にとって最も基本的でありながら難しいのが、「a」と「the」の使い分けです。

「どっちを使えばいいかわからない」「なんとなくtheをつけている」と悩む人も多いのではないでしょうか。

この記事では、冠詞(article)である「a」と「the」の使い分けについて、ルールだけでなくネイティブの感覚も交えながら、例文豊富に徹底解説します。

これを読めば、「なぜ a なのか」「なぜ the なのか」に自信を持って答えられるようになるはずです!

a/an:不特定の「ひとつ」

基本の意味

a/an は「まだ特定されていない、1つのもの」に使います。

日本語では「ある〜」「どれかの〜」「ひとつの〜」という感覚です。

例文
I saw a cat in the garden.
(庭で猫を見たよ)→ どの猫かは特定していない

She wants to buy a car.
(彼女は車を買いたがっている)→ どの車かはまだ決まっていない

Can I have an apple?
(りんごをひとつもらえますか?)→ 特に指定していない

a と an の違い

発音が母音(a, e, i, o, u)で始まるときは an、それ以外は a

例:an orange, an umbrella, a book, a car

the:特定された「それ」

基本の意味

the は「話し手と聞き手の両方が何のことかわかっているもの」に使います。

日本語で言う「その〜」「例の〜」に近いです。

例文
I saw a cat. The cat was black.
(猫を見たよ。その猫は黒かった)→ 2回目で特定されている

Can you close the window?
(窓を閉めてもらえる?)→ 今いる部屋にある「その」窓と特定されている

He is the teacher I told you about.
(彼が例の先生だよ)→ すでに話に出ていて、聞き手も知っている

a と the の使い分けのコツ

① はじめて出すときは a、2回目からは the

例文
We stayed at a hotel near the beach. The hotel had a great view.
(ビーチ近くのホテルに泊まったんだけど、そのホテルは眺めがよかったよ)

→ 最初の hotel はまだ「どのホテルか」は特定していないので a
→ 2回目は「さっき言ったホテル」なので the

② 目の前・共有知識にあるものは the

例文
Please open the door.
(そのドアを開けてください)→ その場にあるドアを指している

I love the sun.
(太陽が好き)→ 世界にひとつしかないものは the を使う

He lives near the station.
(彼は駅の近くに住んでいる)→ その町で駅は1つだけという前提

③ 説明(後ろに続く情報)で特定されると the

例文
He has a dog that barks all the time.
(彼はよく吠える犬を飼っている)→ 不特定な1匹の犬

He has the dog that won the contest.
(彼はそのコンテストで勝った犬を飼っている)→ 特定の犬

類似表現・比較と違い

「a / the」以外にも使い分けに迷うことの多い冠詞表現や無冠詞のケースを比較表で見てみましょう。

表現意味・用法使用例
a/anどれかわからない1つI saw a bird.(鳥を見た)
theみんなが知っている「それ」The bird was beautiful.(その鳥は美しかった)
no article(無冠詞)総称や物質名詞などの一般表現Water is important.(水は大切)
this/that明確に指す(これ/それ)I like this book.(この本が好き)
some不特定のいくつかI bought some apples.(いくつかりんごを買った)

よくある質問と補足

Q:唯一のものでも the を使わないときがあるの?

A:はい、新聞の見出しや口語では sometimes 省略されることがありますが、文法的には the をつけます。

例:The moon, the sky など。

Q:複数形には a は使えない?

A:はい、a は「1つの」という意味なので、複数形には使えません

その場合は somethe、または無冠詞になります。

例:I saw some cats.(何匹かの猫を見た)
I saw the cats you were talking about.(君が話してた猫たちを見た)

まとめ

a は「不特定の1つ」、the は「特定されたもの」。この基本さえ押さえれば、応用は怖くありません。

  • 最初に出すときは a、2回目以降は the
  • 特定できるもの(相手と共有されている情報)は the
  • 世界に1つしかないものや、その場に明らかなものも the

英語の冠詞は「ネイティブの頭の中」を理解するカギです。

使い分けの感覚をつかめば、ぐっと自然な英語に近づけますよ!

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